どうも鈴木です。
気づけばもうこの季節です。
毎年言っている気がしますが、本当に一年が早い。
朝の通勤途中、袴姿の学生さんを見かけました。
まだ少し肌寒い空気の中、足元は草履で、
歩きづらそうなのにどこか誇らしげな顔をしていて。
あぁ、卒業シーズンだなと思いました。
美容室をやっていると、この“卒業”というタイミングに不思議と立ち会うことが多いんです。
高校を卒業した子が、
「やっとカラーできます」と言って来店する。
あの瞬間の顔は、だいたい少し緊張していて、でも嬉しさが隠せていない。
今まで校則で縛られていた分、
選択肢が一気に広がる感覚。
ベージュにするか、グレージュにするか、
思い切って明るくするか、
それとも意外とナチュラルにいくか。
初カラーって、その人の“これから”が詰まっている感じがして好きなんです。
でも一方で、逆のパターンもあります。
「就職なので暗くします」
大学卒業組ですね。
明るくしていた髪を落ち着かせる。
トーンダウンしながらも、重く見えないように。
黒だけど黒じゃない、みたいな絶妙な調整。
自由になる人もいれば、
責任を背負う準備をする人もいる。
同じ卒業でも、立ち位置はまったく違う。
それがなんだか面白い。
そしてこの時期、意外と多いのが親御さん世代。
「一緒に写真を撮るので整えておきたくて」
その一言に、いろんな感情が混ざっている気がします。
やっとここまで育ったという安心感。
少し手が離れていく寂しさ。
でもどこか誇らしい。
髪型を整えるという行為は、
単なるメンテナンスなんですが、
気持ちの整理でもあるんじゃないかと思うことがあります。
ばっさり切る子もいます。
ロングヘアを何年も続けていたのに、
「社会人になるので切ります」とあっさり言う。
そのハサミを入れる瞬間、
僕は毎回ちょっとだけ緊張します。
切る本人は意外とケロッとしているんですけどね。
逆に、
「何も変えません」という選択をする子もいる。
環境が変わるからこそ、
髪はそのままでいたい。
それもまた、ひとつの意思だと思います。
卒業は、終わりというより区切り。
長かった学生生活の終点であり、
次のスタートラインの手前。
その微妙な空気感が、
美容室の中にも流れます。
なんとなくみんな落ち着かないけど、
どこか前を向いている。
僕ら美容師は、その“ちょうど間”にいる人たちの髪を触る。
特別なことをしているわけじゃありません。
長さを整えたり、
カラーを少し変えたり、
質感を調整したり。
でもその時間が、
その人の節目の一部になる。
そう思うと、この仕事はなかなか尊い。
毎年同じようで、
毎年違う卒業シーズン。
きっと来年もまた、
同じことを言いながら、
同じように袴姿を見て「あぁ今年もか」と思うのでしょう。
それでも毎回、少しだけ胸が温かくなる。
卒業シーズンのあれやこれや。
今年も静かに、
いろんな物語が動いています。